History
社友会前史
はじめに旧友会ありき。はじまりは歌会、句会でした。
戦後、GHQ指令により「戦争責任」を問われた野間省一社長は昭和21(1946)年1月に辞任。その後、野間さんの戦争責任の疑いが晴れ、社長に復帰するまでの間、経営の任に当たったのは、6月に代表取締役専務に昇任した尾張真之介さんでした。尾張専務は重責を果たし、昭和28年2月に引退されましたが、人望の厚い方だったこともあって、誰が言うともなく「尾張さんを囲む会」を行うようになったのです。尾張さんは、尾上柴舟門下の有名な歌人(尾張穂草)だった上に、講談社には俳句や和歌をたしなむ社員が何人もいたため、深大寺などで、歌会、句会といった形の懇親会が始まりでした。昭和34年以降、そうした会が定期的に開かれるようになっていきました。そして、尾張さんが亡くなった(昭和48年)あと、講談社の退職者に呼びかけて、社長、役員出席の下、年1回の懇親会を開くことを決め、それが「旧友会」へと発展していったのです。
最後の旧友会となった平成4(1992)年の段階で、旧友会会員は341名でした。
会員の中には、OB会創設に携わることになる人たちも多数いました。
一方、長い間、出版労連委員長を務めてきた楢橋國武さんは、1970年代後半から、高齢化社会の到来を見越して、組合員が退職したあとの「生活不安」に組合として、どう取り組むべきか、腐心していました。従業員株主制度を念頭に置いた「大構想」を考えたりする中で、野間省一社長からは、「音羽グループ全体を包括した互助会のようなものをつくったらどうか」という提案もされています。
ただ、楢橋さんは、あくまでも講談社の組合員の「行く末」を考えていました。
旧友会は、役員、局長経験者などが中心になっていて、会社の組織をそのまま引き継いでいるような雰囲気があったため、もっと「ざっくばらんな」組織にしたいという意向もあったと思います。
楢橋さんを含めて、組合役員を経験したOBたちは、磯貝保博、野田公煕、山根隆の講談社労組歴代委員長をはじめ、労組との議論を重ねながら、講談社OBの方々の意見や感想を幅広く聞き取っていきました。その結果、「講談社はいい会社だった。また、組合もいい組合だった」という声が多く上がり、組合の援助と会社の理解の上に、OB会が発足することになったのです。
OB会発足にあたって、楢橋さんと武田哲次さんは、小保方宇三郎さんを介して、旧友会の田沼貞治さん、黛幸助さん、関根義一さんと話し合いを持ち、旧友会と敵対する組織ではないことを説明しています。
ただ、旧友会との問題は残っていました。講談社にとって、二つのOB会があっては、公平な対応のしようがありません。
そこで、合併の手助けに動いたのが、須藤博さんでした。須藤さんと楢橋さんは、労使交渉の場で、丁々発止とやり合った間柄でしたが、お互いに信頼し合う関係でもありました。
合併前の『OB会報』(平成4年11月27日号)には、旧友会との合併について、こんな話が載っています。
「OB会と旧友会のことですが、もう一緒になったらという声がありますが、どうでしょう」
「大賛成ですよ。いまでは、別々にあることの方が不自然だと思いますよ」
「反対する人はいないですよ」
これに対して、旧友会の中には、「組合がつくり、主導しているOB会と一緒になるのは、絶対に反対だ」という声も少なくなく、調整はそう簡単ではありませんでした。
しかし、双方がていねいな議論を重ね、講談社の意向も踏まえて、合併にこぎつけることになります(合併までの時系列は年表をご覧ください)。
社友会30年史 主な出来事
1988年 昭和63年 | |
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5月 | 労組四役と準備委員会が協議。「講談社OB会」の設立を決定 |
7月 | 労組、定期大会で講談社OB会の会則と予算案を承認 |
9月 | 会報「講談社OB会」準備号発行、事務局を国際文化出版社内に設置 講談社OB会設立総会開催(本社講堂) 会長:楢橋國武、副会長:武田哲次、事務局長:野村浩、各専門部会、活動開始 |
12月 | 会報「講談社OB会」第 2号発行 |
1989年 平成元年 | |
3月 | 会報第3号発行 |
6月 | 会報第4号発行、会員アンケート集計報告 |
9月 | 『OB会会員名簿』平成元年版配布 第2回 OB会総会・懇親会(本社講堂) |
10月 | 第1回の旅行、奥多摩バスハイク実施 旧友会総会 |
1990年 平成2年 | |
2月 | 第1回税務講演会。講師・大口達男(住友信託銀行池袋支店財務コンサルタント) |
6月 | 旧友会の田沼貞治、関根義一、黛幸助がOB会の楢橋國武、武田哲次と合併協議 |
9月 | 第3回 OB会総会・懇親会開催(本社講堂) |
12月 | 第1回古谿荘みかん狩りバスハイク。以降、平成22年まで21回続く |
1991年 平成3年 | |
5月 | 『OB会会員名簿』平成3年版発行 |
6月 | 第4回 OB会総会・懇親会(本社講堂)『緑なす音羽の杜に─ OB たちの記録』刊行 |
1992年 平成4年 | |
6月 | 第5回 OB会総会・懇親会開催(本社講堂) |
10月 | 第1回「OB会作品展」(池袋・豊島区民センター) |
12月 | 旧友会・OB会から各5名の委員で合併協議 |
1993年 平成5年 | |
1月 | 財務講演会 講師・天賀谷茂 |
2月 | 会報第19号発行 事務局を音羽健保気付とする |
6月 | 第6回 OB会総会・懇親会(本社講堂)、旧友会との合併承認 |
10月 | 旧友会・OB会合同懇親会開催(茗渓会館) |
12月 | 第2回「OB会作品展」 |
1994年 平成6年 | |
6月 | 旧友会・OB会合併第1回(通算7回)総会・懇親会開催(本社講堂) 代表幹事:楢橋國武、事務局長:井岡芳次、常任幹事会を設置 |
9月 | 第3回「OB会作品展」。以降、9月の3日間開催 |
10月 | 拡大幹事会で会名を「講談社社友会」と決定、同日の秋季懇親会にて披露(茗渓会館) |
11月 | 会報第26号発行。この号から会誌名を「講談社社友会」と改称 |
1995年 平成7年 | |
6月 | 第8回社友会総会・懇親会(本社講堂)年会費4000円に改定。 原健三郎、小保方宇三郎、服部敏幸を名誉顧問に |
10月 | りんご狩りバスハイク(沼田・真田りんご園) 秋季懇親会(茗渓会館) |
1996年 平成8年 | |
3月 | 春のバスハイク(吉川英治記念館ほか) |
7月 | 『緑なす音羽の杜にII ─野間省一社長と私たち』刊行 第9回社友会総会・懇親会(本社講堂)会長:須藤博、副会長:楢橋國武、事務局長:野村浩 |
10月 | 秋季懇親会(茗渓会館) |
1997年 平成9年 | |
4月 | 春のバスハイク(多摩森林科学園ほか) |
7月 | 第10回社友会総会・懇親会(本社講堂) 幹事会・拡大幹事会を一本化。名誉会長、名誉顧問、顧問を設置。 90 歳以上の会員に記念品を贈呈 |
10月 | 秋季懇親会(茗渓会館) |
1998年 平成10年 | |
1月 | 事務局を西池袋ソフトタウンに移転 |
4月 | 春のバスハイク(笠間・笠間日動美術館ほか) |
6月 | 第11回社友会総会・懇親会(本社講堂) 本年から米寿の会員に記念品贈呈 |
11月 | 桐生市・野間清治顕彰碑除幕式に参列 |
12月 | 講談社新社屋見学会を兼ねて懇親会 |
1999年 平成11年 | |
3月 | 第1回健康・医療講演会講師・甲斐良一(医事ジャーナリスト)平成23年まで続く |
4月 | 春のバスハイク(富士川ふるさと工芸館ほか) |
6月 | 第12回社友会総会・懇親会(本社新社屋N棟会議室、3階食堂) 木村外記雄に白寿祝賀のお祝い。野間教育研究所特別紀要『私の半生・修養雑話』を全員に贈呈 |
10月 | 秋季懇親会(新社屋H棟26階) |
2000年 平成12年 | |
5月 | “春のバスハイク(佐倉市・川村記念美術館、国立歴史民俗博物館ほか)” |
6月 | 第13回社友会総会・懇親会(新社屋N棟会議室、3階食堂) 社友会事務所、音羽YKビル2階に移転 |
9月 | 第9回「社友会作品展」。来場者 180 名を超える盛況(豊島区民センター) |
10月 | 秋季懇親会(新社屋N棟3階食堂) |
12月 | 『緑なす音羽の杜にIII─講談社と私たちの九十年』刊行 |
2001年 平成13年 | |
1月 | 財務講演会講師・匝瑳勝美 |
4月 | 春のバスハイク(山梨・清春白樺美術館) |
6月 | 朝日新聞社主催の「手塚治虫文化賞」の特別賞を丸山昭が受賞 第14回社友会総会・懇親会(本社講堂) |
10月 | りんご狩りバスハイク(桐生・藤生りんご園)。桐生市・野間清治顕彰碑献花式に参列 秋季懇親会(新社屋H棟26階) |
2002年 平成14年 | |
6月 | 春のバスツアー(潮来・前川あやめ園ほか) 第15回社友会総会・懇親会(本社講堂) |
8月 | 楢橋國武、逝去 |
9月 | ぶどう狩りバスツアー(山梨・昇仙峡、早川園ほか) |
10月 | 秋季懇親会(本社講堂) |
2003年 平成15年 | |
3月 | 須藤博、逝去 |
5月 | 春のバスツアー(神奈川・真鶴半島ほか) |
6月 | 第16回社友会総会・懇親会(本社講堂) 会長:丸山明、副会長:市原徳郎、事務局長:堀越徳雄 |
8月 | 梨・ぶどう狩りバスツアー(茨城・千代田町福田グリーン農園ほか) |
10月 | 野間清治顕彰碑建立5周年記念献花式に参列 秋季懇親会(本社講堂) |
2004年 平成16年 | |
6月 | 第17回社友会総会・懇親会(本社講堂)。 出席者に「講談社の絵本3冊セット」を贈呈 |
10月 | 秋季懇親会(本社講堂)。久保田裕、コー ラスを従えて「愛燦々」を熱唱 |
11月 | 原健三郎、逝去、享年 97 会報66号で「趣味の同好会を創設」参加を呼びかける |
2005年 平成17年 | |
3月 | 小保方宇三郎、逝去、享年101 |
6月 | 山口勘蔵、逝去、享年83 第18回社友会総会・懇親会(本社講堂)会長:市原徳郎、副会長:高嶋伸和 |
9月 | 第 14 回「社友会作品展」。社友会記念誌刊行を記念して「社友会賞」を制定、7名を表彰(この賞は、この回だけで中止) |
10月 | 秋季懇親会(H棟26階) |
2006年 平成18年 | |
1月 | レクレーション部・文化部共催の「名所散策と飲酒談話会」 第1回、神楽坂散策 |
3月 | 木村外記雄、逝去、享年105 |
6月 | 『緑なす音羽の杜に IV─講談社社友会の歩み』刊行。1400 部 第19回社友会総会・懇親会(本社講堂) |
10月 | 秋季懇親会(本社講堂) |
2007年 平成19年 | |
6月 | 第20回社友会総会・懇親会(H棟26階) |
10月 | 秋季懇親会(本社講堂) |
11月 | 「会報第78号」で『緑なす音羽の杜に V─講談社創業 100 周年に寄せて』の原稿募集を開始 |
2008年 平成20年 | |
6月 | 第21回社友会総会・懇親会(本社講堂) |
8月 | 服部敏幸、逝去、享年95 |
10月 | 秋季懇親会(H棟26階) |
2009年 平成21年 | |
5月 | 「会報第84号」本社創業 100 周年協賛特別 寄稿「岩淵・古谿荘百年の歩み」市原徳郎 |
6月 | 第22回社友会総会・懇親会(本社講堂) |
10月 | 秋季懇親会。講談社創業100周年記念として本社が開催。 会員・山崎敏夫「野間佐和子社長肖像画」を野間省伸副社長に贈呈 |
12月 | 『緑なす音羽の杜に V─講談社創業100周年に寄せて』刊行。1800部 |
2010年 平成22年 | |
1月 | 税・財務講演会。講師・吉澤武司 |
6月 | 野間省伸副社長にトレンド・インタビュー 「電子書籍の新しい可能性について」 第23回社友会総会・懇親会(本社講堂)新会長:高嶋伸和、新副会長:田中忠宏。懇親会で久保田裕、小椋佳の「夢積み上げて」を熱唱。2日後に逝去。享年88 |
9月 | 第19回「社友会作品展」来場者234名(豊島区区民センター) |
10月 | 社友会秋季懇親会(H棟26階) |
2011年 平成23年 | |
5月 | 「会報第92号」証言構成─東日本大震災そのとき私は…… |
6月 | 第24回社友会総会・懇親会(本社講堂) 講堂に佐和子前社長の遺影が飾られた |
8月 | 「会報第93号」秋のみかん狩り中止のお知らせ。野間農園縮小のため |
9月 | 第20回「社友会作品展」。 新美達郎、出川美沙雄、鳥居輝明、大島與作の「遺作コーナー」が設けられた(豊島区民センター) |
10月 | 社友会秋季懇親会(H棟26階) |
2012年 平成24年 | |
5月 | 「会報第96号」<講談社なう>キングレコード創業80周年。小池武久会長、重村博文社長にインタビュー |
6月 | 第25回社友会総会・懇親会(本社講堂)。 11年間にわたり事務局長を務めた掘越徳雄、退任。後任に野澤遵宣、就任 |
9月 | 第21回「社友会作品展」。 「キングレコード創業 80 周年」を記念して特別展示 |
10月 | 社友会秋季懇親(H棟26階) |
11月 | 第1回日帰りバスツアー 「吉川英治記念館と紅葉の青梅、御嶽周辺を楽しむ」 |
2013年 平成25年 | |
5月 | 「会報第100号」〈社友会報100号お祝い寄稿〉あしたがたのしい百歳の功─中島善次郎、103歳 |
6月 | 第26回社友会総会・懇親会(本社講堂) |
9月 | 第22回「社友会作品展」特別展示 ① 講談社OBの著作 224点。 ② 八重と同時代を生きた野間清治の家族たち |
10月 | 社友会秋季懇親会(H棟26階) |
2014年 平成26年 | |
5月 | 「会報第104号」 ─講談社の OB と OG が選ぶ「講談社ブック大賞」を始めるにあたって副会長・文化部長:田中忠宏 |
6月 | 第27回社友会総会・懇親会(本社講堂) |
9月 | 第23回「社友会作品展」入場者数304人。 特別展① 講談社とトキワ荘。 ② 講談社書道部75周年記念展 |
10月 | 社友会秋季懇親会(H棟26階)。 第1回「講談社ブック大賞」表彰式 |
2015年 平成27年 | |
5月 | 副会長・田中忠宏、逝去、享年76 |
6月 | 第28回社友会総会・懇親会(本社講堂)。 急逝した副会長の後任に江口拓。退任の野澤遵宣事務局長の後任に小池達也が就任 |
9月 | 第24回「社友会作品展」。 特別展「世界にひらく講談社 野間省一社長と歩んだ新しい道」 |
10月 | 名所散策と飲酒談話会「戦後 70 年特別企画─防衛省市ヶ谷台ツア─」 社友会秋季懇親会(H棟26階)。 第2回「講談社ブック大賞」表彰式 |
2016年 平成28年 | |
5月 | 「会報第112号」。 本を出版しました! 『学術の森の巨人たち』への思い─池永陽一 |
6月 | 第29回社友会総会・懇親会(本社講堂) |
9月 | 第25回「社友会作品展」。 特別展「一世を風靡した『講談社の絵本・児童書』展」 |
10月 | 社友会秋季懇親会(H棟26階)。 第3回「講 談社ブック大賞」表彰式。 受賞作「あとかたの街」の作者(漫画家)おざわゆき氏が和服で出席され、花を添えた |
2017年 平成29年 | |
6月 | 第30回社友会総会・懇親会(本社講堂)。 高嶋会長退任。野澤遵宣、新会長に。社友会設立30周年記念として記念文集第6集を平成30年6月に刊行したいと報告 |
9月 | 第26回「社友会作品展」。 豊島区雑司が谷地域文化創造館で開催。特別展示(追悼・丸山昭) 「漫画編集者の青春時代─雑司が谷・並木ハウスの想い出」 |
10月 | 社友会秋季懇親会(H棟26階)。 第4回「講談社ブック大賞」表彰式 |
2018年 平成30年 | |
2月 | 浜田博信、逝去、享年75 |
6月 | 第31回社友会総会・懇親会(本社講堂) 「緑なす音羽の杜にⅥ 講談社社友会30年の歩み」刊行 出席者に配布 |